出勤途中に大阪駅を歩いていると、大阪モード学園の広告がやたらと貼り付けられていた。
【画像引用元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000666.000011137.html】
「ファッションだけがモードか。」「ネイルだけがモードか。」
「何が言いたいん?」と思ったけど「同じ学校内にいろいろな学部がある」という事を遠回しに言っているのだと思う。
よく考えたら自分が高校生の時は、心の奥底では普通の大学では無くこっち系の専門学校に行きたいと思っていた気がする。
こっち系の専門学校に入学するタイプの人間には4種類いると思う。
1.ガチでなりたい職業が定まっていて、意欲が半端じゃ無い人。
2.自分が「大多数の人間とは違う」という自負があり、逆張りで生きる人間。
3.「なんか楽しそう」「一般会社員はなんか嫌」というざっくりとした意識を持つ人間。
4.受験勉強するのが嫌で「専門学校」という選択肢を選ぶ人間。
自分はほぼ「2」と「3」の中間タイプだった様に思う。当時はとにかく頭が悪かった。あのまま自分の意思に正直になって、専門学校に進学していたらどうなっていたのだろうと思う。
「フランシス・マルマン」というシェフがいる。
彼は普通科の高校に通っていたけど、ある日外国からやってきた転校生がラジカセで流した「The Monkees」の曲を聴いて感動して、学校を辞めてロックを学びに外国(どこの国かは忘れた)に単身で引っ越したらしい。
とてつもない感受性と行動力だと思う。そしてビザの為にどこかしらの学校に通わないといけないので適当に料理学校に入学したら、料理の楽しさと才能に目覚めて世界的シェフになった。
きっかけなんてどうでもいいし、実際こういうエピソードがあると、自分も「凄い人間になっていたかもしれない」と思うけど、まぁなってないと思う。
それは別として調べてみると、大阪モード学園のオープンキャンパスは社会人でも参加できるし、寮にも無料宿泊できるらしい。さすがに入学しようとは思わないけど、人生経験として応募した。
応募して数日で書類が届いた。
なんか適当な事言ってて草。
寮は前泊と後泊とで選べたけど、もしかしたらオープンキャンパス後にコミュニケーションイベントがあるかもしれないと思い、後泊にした。
オープンキャンパス当日。
駅を出て向かっていると、何人か大阪モード学園の学生が「オープンキャンパスこっち→」みたいな看板を持って立っていた。
「道ぐらい自分で調べるし何の為に立ってるんだ...ていうか給料貰ってるのか?」嫌な予感しかしない。
【画像引用元:https://www.hanbaishi.com/case/339】
大阪モード学園に到着。入り口も高級ブランドショップばりに学生が出迎えてくれた。
「どの学部を体験しますか?」と聞かれたので「どの学部がおすすめですか?」と初めて入った定食屋の様な質問をしたら困っていたので、自分のサラリーマン人生から一番遠い「美容師体験コース」を選んだ。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
学生の人に案内して貰って、ホールに連れてきてもらった。
少し話したけどやっぱりボランティアらしい。若い女性だったけど「ボランティアですっ☆」と何か言いたげの含みえ顔で答えてくれた。
ここで教師陣の登場。アンミカタイプから原田泰造タイプまで色々な人がいる。
前に立ってそれぞれの学科の説明等をしていたけど、トークのレベルが半端じゃなく高い。たぶん社会人としてかなりレベルが高い人達なんだと思う。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
説明が終わったらいよいよ実習。実習室に連れてこられた。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
シャンプー台もついている。
男性の学生の人が担当についてくれた。この人はなんというか「見た目を頑張ってる感」があった。
美容師志望の理由を聞いたら「元々ダサくて自分に自信も持てなかったけど、自分磨きを頑張ったら彼女も出来て自分に自信を持てた。自分みたいな人を一人でも増やしたい」と言っていた。
元々会社員だったけど、こう決心して会社を辞めたらしい。すごい行動力だと思うけど、この夢の達成難易度はかなり高いと思う。
「美容院に来店」という時点でかなりの美意識を持ち合わせているので、この時点で矛盾している。
最近はキモオタクをスカウトして、ビフォーアフターをインターネット上に晒すのが流行ってるけど、どれだけ衝撃的な変化でも、キモオタクはもともと自分の容姿に興味が無いので、車に興味が無い人がスポーツカーを見た感情と同じ感情になると思う。(一部心が動く人もいるだろうけど)
実際こういった人間が変わるのに必要なのは「髪を切る人」ではなく「変わりたいと思うキッカケ」だと思う。それも「ちょっとした出来事」では無く「脳に電撃が走る程の出来事」でないといけないと思う。人間の意志というのは儚く脆いので。
学生の人に教えてもらってマネキンの髪を切った。
どうみても素人の出来栄え。色々と教えてもらったけど思っている以上に難しく、職人芸だと思った。
初めて髪を切ったけどかなり楽しかった。美容師という職業に一定に人気があるのも分かる気がする。
実習が終わった後は学校内を案内してもらった。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
デカホール。ここで学生がデザインした服のファッションショー等のイベントしたりするらしい。
「楽しそうな学園生活だな...」と思ってしまった。自分の大学生活と比較して少し悲しくなった。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
図書館。なんか本が少ない様に感じた。
案内してくれた学生の人は「こんなに本がたくさんあります!」と言っていたけど二人きりになった時に「図書館って使ってますか?なんか本少なくないですか?」と聞いたら「あんまり使わないです。少ないですね...」と言われた。
【画像引用元:https://www.mode.ac.jp/osaka/facilities】
一通りの案内が終わったら最初のホールに戻ってきた。
学校の入学案内が始まるらしい。開始までに担当してくれた学生と喋っていた。
心を許してくれたのか、入学の意志が無い事が分かってたのか、こいつなら話してもいいと思われたのか、鬱憤が溜まってたのか、学校の内情をいろいろと教えてくれた。
とにかく中退率が半端では無く、3分の1ぐらいは1年で辞めるらしい(美容師学科は2年で卒業)
あととにかく厳しく、初日から軍隊の様な声出しから始まり、一日で辞める人もいるらしい。学校側からしたら授業料は振り込み済みなので、1日で辞めようがどうでもいいのだろう。退学勧告も結構あるらしい。
体験入学のボランティアに関しては「外に出しても恥ずかしくない学生」を選別し、半強制的に呼び出しているらしい。
周りにいた入学する気満々の学生は話を聞きたくないのか、嫌そうな顔をしていた。
【画像引用元:https://www.facebook.com/tokyomodegakuen/】
入学もしていない学校の愚痴を言い合っていると学校の入学案内が始まった。
学校側の入学案内の説明をまとめると
①【多彩な学科】
色んな学科があって連携して学ぶ事ができるらしい。ファッションデザイン科の学生が作った服をファッションビジネス科の学生が写真を撮って、グラフィックデザイン科で写真加工等。
➁【中退率は約5%】
「30人の学科であれば辞める人は1〜2人です。定着率が高いです。」とはっきりと言い張っていた。こうなってくると学校側か学生かどっちかが嘘をついている事になる。
学校側が嘘をついているとしたら、結構問題な気がする。公式発表の場で「数字のトリックで良い様に見せている」「都合の悪い事を発表しない」等の小細工では無く「シンプルに嘘をついている事」になる。
③【充実した保障制度】
大阪モード学園には就職できなければ、最大で追加で2年学費無料で通える保証制度があるらしい。
簡単な話、どこにも就職できなければ最大で2年間無料で就職浪人できると言うこと。
だけどここは天下の大阪モード学園。
東大生でさえ卒業後ニートになる人もいるというのに、就職率は脅威の「100%」で過去にこの制度を使った人は一人もいないらしい。
大阪モード学園の長い歴史でそんな事ありえるだろうか。「大学が発表する就職率は色々小細工を使っていて信用できない」という事は良く聞くけど、それにしてもな気がする。
さっきの退学勧告に話に繋がるかもしれないし、繋がらないかもしれない。
ちなみに美容師学科は独自に「卒業までに国家資格を取れなければ最大2年間授業料無料」というシステムがあるけど、これに関しては過去適用者に言及していなかったので、何人かいたのだと思う。
④【受験はイージー】
入学試験は面接だけらしい。それに「大体受かります」と公式発表していた。仮に落ちても何回でも受験できるらしい。
新卒のドン・キホーテと同様のシステム。
だけどドン・キホーテは面接回数を重ねる事に合格率が上がるらしい(もう受けた人全員合格でいいと思う)のでドン・キホーテよりは合格難易度が高いのかもしれない。
これで体験入学は終わり。これから寮に行って宿泊する。
寮。谷町四丁目駅から歩いて5分ぐらい。大阪モード学園からはタクシーで連れて来られた。
寮は無料宿泊だけど遠方から来てる数人(女性なので別の寮)以外で活用してる人はいなかった。
ホテルではないのでアメニティ等は何も無い。
家賃は7万ぐらい。学割どころか割増で大阪モード学園にマージンが払われているのでは、という金額。
この寮は大阪モード学園専用寮ではなく、他の人も住んでいるように感じた。食堂があって追加で料金も払えば(確か2万ぐらい)朝夕は食事が提供される。
居心地は悪くないけど広くはない。コミュニケーションイベントも無く、1人で1泊して翌朝家に帰った。
これで終わりです。体験入学は何回でも参加して良いみたいなので、別学科でまた参加してみようかな。
散々言ってきたけど、この学校は他専門学校と比べても授業料が高いし、金にがめついところも多々あるけど、本気で頑張る人にとっては良い環境なんだと思う。
環境は整ってるし、実際担当してくれた学生の方は大手の美容院の面接がいい感じに進んでいるらしい。結構厳しいらしいけど、本気の人にとっては緩いより厳しい方が成果が出やすい。
大人になるにつれ、専門学校という存在が「平凡なサラーリマン人生から抜け出さしてくれる団体」ではなく「若者の夢を餌に金儲けする団体」だという事に気付いた。
ただこういうビジネスシステムなだけで、それが良いとか悪いとかいう事ではないけど自分が分かって無かった様に、これを理解して入学する若者は少ない気がする。
結局自分は平凡なサラリーマンになったけど、それがダメなんて事は全然無いし、好きな事を仕事にしても嫌な事があるのと同様、これはこれで良い事もある。
子供の頃親が口酸っぱく言っていた事(ちゃんと勉強して大学に進学しろ等)も、大正解かどうかは別として、あながち間違いでは無かったとも思う。
だけど「チャレンジしなかった後悔」というのは一生つきまとうとも思う。だから
「目の色を変えろ。運命が変わる。」